退所後のケア考える、横浜で児童養護施設職員らシンポ/神奈川
神奈川新聞社 2014年3月16日
児童養護施設を退所した子どもたちへの支援を考えるシンポジウム「アフターケアの保障を実現させるために」が15日、県社会福祉会館(横浜市神奈川区)で開かれた。児童福祉の第一線で子どもたちに向き合っている県内外の児童養護施設職員らが、退所者に必要な支援の在り方を探った。
児童養護施設に入所する子どもたちが、法的に保護されるのは原則18歳まで。社会経験や経済力が未熟なまま自立を求められ、相談できる相手もいないなど、困難を抱えてしまうケースが少なくないという。
シンポでは、強羅暁の星園(箱根町)の男性が、退所者と長く関係を保ち、勤務先の人間関係や家族の問題を抱えた退所者をケアした事例などを紹介。「施設は子どもたちの実家になりうる場所。お金、時間、人、理解がなければアフターケアはできない」と力説した。
退所者や元職員らが集う「集まろう会」などの活動を行っている聖母愛児園(横浜市中区)の男性は「強みを生かし、弱みを補う。施設内だけで完結せず、外部とも連携したい」と語った。
先駆的な取り組みが行われている東京都からは、子供の家(清瀬市)の男性が参加。「退所者は年々増えるが、アフターケアは、基本的に一生涯必要。大切なのは、退所者とつながり続けていること」と呼び掛けた。
また、県からは子ども家庭課の菊池正敏課長が出席し、2014年度から予定している新規事業について説明した。
シンポは児童福祉に携わる有志で構成する「かながわアフターケア勉強会」と、「わかもの互立(支えあい)ネットワーク」の共催で、北海道や埼玉など県内外から約80人が参加。児童養護施設退所者を支援するNPOや里親らも交え、活発に意見交換した。