子ども虐待防止学会が緊急要望書 「明日ママ」問題
朝日新聞デジタル 2014年2月7日
児童養護施設を舞台にした日本テレビ系のドラマ「明日、ママがいない」について、日本子ども虐待防止学会は7日、「子どもの福祉に反する内容が多く含まれている」などとして、子どもらへの一層の配慮を求める緊急要望書を日テレに送った。
番組をめぐっては、全国児童養護施設協議会などが「施設の子どもへの偏見を生む」などと抗議。同局は「これまで以上に子どもたちに配慮する」とする文書をホームページで公表している。
これに対して学会は「今後多少の変更はあったとしても、放映がトラウマとなり、フラッシュバックなどが起きる危険への対処がない」などと指摘。ドラマの前後で、設定が実際の施設とは異なることを子どもにもわかるよう説明することや、虐待などでトラウマを抱え心理的な反応が起きる恐れがある場合には、視聴を控えるよう呼びかけることなどを求めた。
同局は「要望書の内容を検討させて頂きます」とコメントした。
「30年前の感覚」と袋叩きにされたヒットメーカー野島伸司氏
東スポWeb 2014年2月7日
児童養護施設を舞台にした芦田愛菜(9)主演の日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」をめぐり、熊本の慈恵病院などが内容改善を求めていた“明日ママ騒動”で5日、日テレが正式に謝罪し改善を約束した。同局最大のミスは事前取材不足と、年々厳しくなる放送基準を読み違えたこと。この日、行われた関係団体の記者会見では「センスが古い」「30年前の感覚でドラマを作っている」など強烈なダメ出しが飛び交い、脚本監修を務める往年のヒットメーカー野島伸司氏(50)も面目丸潰れだ。
「30年前の感覚でドラマを作っているんじゃないでしょうかねぇ!?」
思わぬダメ出しが飛び交った。この日、同ドラマに対し抗議の声を上げていた慈恵病院、全国児童養護施設協議会(全養協)が厚生労働省で開いた会見の席で、だ。
全養協の藤野興一会長(72)は、5日までに日テレから正式な謝罪と内容改善を約束する書面が届いたことを報告。具体的な改善点については「あちらの立場もあるので聞かなかった」そうだが、日テレが非を認めたことは評価。今後については「最後まで見守っていくことになる」と話し、一応の決着となりそうだ。
騒動の最大の要因は、取材不足。同局も「事前に児童養護施設を取り巻く環境などの実情を詳細に伺い、表現上留意すべき点などをより慎重に確認しておく必要があったと認識しております」と“過失”を認めている。
これに慈恵病院の蓮田健産婦人科部長(47)は「30年前には身体障害者用の駐車場はなかったが、今はあるのが当たり前。弱者への配慮がここ数年で変わったのです。ドラマも同じ。その変化に気付かず、30年前の感覚で作ってしまったのでしょう」と手厳しく指摘。これが呼び水となり、話はストーリーへの“ダメ出し大会”に…。
芦田が演じる主人公が「赤ちゃんポスト」に預けられていたことで「ポスト」というあだ名で呼ばれていることも批判の対象となったが、全国里親会の星野崇会長(68)は「あんなもの、(三上博史演じる)施設長が『今日からあだ名を変えるぞ』と言えば済む話じゃないか!」と豪語。
前出・蓮田部長も「たぶんこれから、怖い施設長がどんどん優しくなっていくのでしょうけど…。それなら、児童養護施設に預けられるに至った子供たちの壮絶な過程にスポットを当てた方がいいと思う」と、予想されるシナリオに“ダメ出し”した。
こうなると、メンツ丸潰れなのが脚本監修を務める野島氏だ。1990年代に「家なき子」(日テレ系)の企画立案、「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」(共にフジテレビ系)、「高校教師」(TBS系)など、大ヒットドラマの脚本を手掛けてきたが、公式の会見で「もはや時代遅れ」と、テレビ業界人ではない一般の人にコキ下ろされた格好。
「野島氏は丹念に取材するタイプではなく、感性で一気に描く人。脚本家仲間の間では『彼こそ天才』と言われ続けてきた。今回も全体の話の流れは彼が考えてきた。それを騒動の当事者とはいえ、素人の方に会見で『センスが古い』とダメ出しされたのだから心外でしょう。騒動を含め、それを事実上の引退勧告と捉えてしまってもおかしくありませんよ」とはテレビ関係者だ。
確かに、騒動の最中にはネット住民たちからも「センス古すぎ」や「家なき子の時代じゃない」といった同様のダメ出しが少なからず見られた。往年のヒットメーカーも、時代の波には逆らえなかったということか?