9月のまだ暑さが続く日。
この日は子どもの誕生日でした。

児童養護施設 ケーキ 誕生日

毎年必ずやってくる素敵な1日。子ども達はこの日が来るのをいつも心待ちにしています。「そろそろだね、僕の誕生日」「プレゼント何買おうかな」「お友達呼ぼう!」と、頭の中が誕生日でいっぱいになり誕生日が好き過ぎるあまり「僕の誕生日は○月○日」と、教えに回る子もいます。

クリスマス、お正月、夏休み、冬休み、誕生日。子どもの頃、心躍り、幸せに包まれたビッグイベントは、大人になると別の意味でビッグイベントです。

「プレゼントはどこで買おうか」「料理をもう作らないと間に合わない!」「頼むから当日風邪引かないで」と、ビッグイベント成功のために、あの手この手、猫の手も借りたいほどに大忙し。

普段は皆で生活しているので、好きな食べ物やワガママを言いづらいのですが、誕生日は子ども1人のためにみんなで祝う、とても特別な時間。「○○食べたい」と言えば、喜んでくれる顔を妄想し、励みにしながら用意します。「そんな無茶な・・・」と言われる注文を、クックパッドを見たり、料理教室に行ったりと、子どもには何食わぬ顔で「誕生日楽しみだね」と言いながらも、阿修羅の如く裏では真剣な面持ちで虎視眈々と準備を進めているのです。この日も担当職員が材料から器材までを揃えて気合十分。こうして頑張っている姿も、子ども達にも見てほしいなぁと思うほどの奮闘ぶりです。

誕生日 ケーキ 手作り 児童養護施設

この日はフルーツタルトとロールケーキを職員が作って、子どもの誕生日を祝いました。
一緒に暮らしている子ども達、担当職員の皆が揃い、いつもの「いただきます」が「お誕生日おめでとう」に変わり、素敵な時間が始まります。

幼い頃からいる子は小さい頃の思い出話をしたり、今夢中になっていること、何でもない話を聞いているだけで、つい顔がほころんで笑顔になります。

ハイライトは、なんといってもローソク消し。大人がイソイソと準備を始めると、子ども達もソワソワ。電気が消え、皆で「ハッピーバースデー」を歌います。誕生日の子は、普段見せないような恥ずかしそうな笑顔で歌を聴き、ローソクを吹き消すこの時は、皆が幸せを共有できる素敵な時間です。

ケーキを食べて、満たされた表情で1日を終える誕生日。

誕生日会を終えていつも思うのは、この子が生まれてきてくれた事、すくすくと育ってくれた事に感謝する気持ちで、職員として子ども達の幸せを何度も共有できるのは、この仕事の醍醐味だと実感します。

次の誕生日も楽しみです。